児戯
考えることは児戯に等しく
相づち、うなづき、へつらいを
作って見せる顔を
側面にさえ持っていない
守るもの、保つもの
危うく握っているもの
笑ったような顔で手を開けば
遠く離れて戻らない
しばらくは去りゆく相対の中にいて
やがて顔がうつろになるころ
隠してすまなかった
そんな口も残さずに
入れ代わるようにすうっと
邪魔な影は消えて
後ろの鮮やかな景色が見えてくる
見ることは児戯に等しい
(1996年12月17日)
あはは
もうじき
あはは、あはは
としか言えなくなりそうな気がする
ゆらゆら手振り足振り
あはは、あはは
それで十分な気さえする
それが善いところを死なせてくれる
悪いところがいきり立つのを丸く折ってくれる
そうやって壊れたものを
跡形もなく消してくれる
すべて悔いるものを
すべて
あはは
呆けた邪気のない声
あはは
誰にも聞こえない声
待っているだけ
君はすぐそばにいる
近づいてくる
早く来ておくれ
でもこの懐かしさは昔
君を踏み付けることで
手に入れたもの全て失うまで
きっと訪れてはくれない
今は悔いに悔いて苦しむがいい
もうじき終わる
もうすぐ来てくれる
すぐそばにいる
でもまだ来ていない
まだ僕がいる
(1996年12月17日)