ウソの国-詩と宗教:st5402jp

キリスト信仰、カルト批判、詩のようなもの、思想・理念、数学・図形、などを書いています。

年寄りです。1954年2月24日、長崎市の生まれ。17か18歳で、佐世保で洗礼を受けたクリスチャン。現在、教会へ行っていない逸れクリスチャン。ブログのテーマは、キリスト信仰と、カルト批判が中心です。ヤフーブログから移行してきました。ブログは、2010年からなので、古い記事も多いです。


下の記事
「詩のようなもの「遺訓」「抗う」「バザー」」において
覚えてからは、いつものように、
ポエムブログ村のカテゴリー
「暗い詩」バナー&リンクを貼って投稿しようとしたら、
「記事の投稿に失敗しました。しばらくしてから投稿してください。」
というエラーメッセージが出た。
しばらく待って何度か投稿を試みたが、同じだった。
貼りすぎか?投稿しすぎか?・・・よくわからん・・・
 
記事そのものは投稿できたのだから、それで納得するしかないか・・・
 


  遺訓
 
「わかったか」
といってまだ何も言ってはいないのである
「わかったか」
説教ひとつしてはいないのである
少年はパソコンに向かったまま
「ええ?何を?
大事なメール書いてるとこなんだ
部屋帰って寝たら?体弱いんだし」
老人の頭には鉢巻(はちまき)
目は充血して
手には玩具(おもちゃ)の刀
「わかったかと聞いておる」
老人の眼は潤(うる)んでおり
唇はふるえており
手も足もふるえて
起立歩行も儘(まま)ならぬ身である
少年は振り向きながら
「んな、っかるわけないだろう?
だいたいじいちゃんには関係ね・・・」
少年は老人を見た
「あ・・・いや、その・・・だ・・・
だいじょぶ・・・かな・・・とか・・・」
あくまで武骨で口下手で
遊びに縁のなかった老人と
トークもジョークもチャットも上手で
とてももてると評判の少年
 
数日後老人は他界した
 
(1999年03月24日)
 
 
  抗う
 
かすり傷ひとつぐらいは負わせてやる
仰向けになって空気を引っ掻く
蛇口から出てくる水を握りつぶす
陽射しを引っ掴(つか)んで
千切(ちぎ)る千切る
夕日に向かって立ち
焼いてみろと啖呵(たんか)を切る
見得(みえ)を切る
とっとっとっと片足で
長い影踏み夕闇へ
幕を下ろし下ろし帰ってくる
 
(1999年05月01日)
 
 
  バザー
 
一人目は
粘液の滴(したた)る
目の粗い袋を持ってきた
ホームレスの
今は亡き人の形見だという
二人目は
汚れたハンカチを
行方知れずの
鬱(うつ)病者の残した物だと
三人目は
机に向かったまま頓死した詩人の
曲がって途切れた線
しか書かれていない原稿用紙を
四人目は
描きかけて破いた絵の切れ端を
五人目は
レンズの割れた眼鏡を
六人目は
底の抜けた柄杓(ひしゃく)を
七人目は・・・
 
バザーは日曜日に催された
セーターや上着
家具に調度品
その他いろいろ
晴れたこともあって
花が咲いたように
家族連れで賑(にぎ)わったという
 
(1999年06月19日)
 

 
  青年と老人
 
公園のベンチに
青年と老人が並んで座っていました
声にならない独り言が
ときおり二人の唇を細かく動かしていました
 
青年は寂しさを知らない
寂しくないことを知らないから
たのしい人になる
たのしい人になる
老人は苦しさを知らない
苦しくないことを知らないから
しあわせの人になる
しあわせの人になる
紙袋がすうっと飛んできて
不意に舞い上がって
また飛んでいきました
青年は風を見ない
老人は風を忘れた
二人とも目の前にあるゴミ箱の
ゴミを燃やしてくれる人を待っていました
二人の間に座っているはずの男を
いつまでも待っているのでした
 
二人とも
ベンチを壊して
カゼになれ
カゼになれ
 
(1996年11月9日)
 
 
  二人
 
距離が二人を隔てたのではない
二人が距離を分けたのだ
時が二人を隔てたのではない
二人が時を分けたのだ
嵐が二人を分けたのではない
同じ風を受けなかっただけだ
 
闇が二人を分けたのではない
光も闇も分けなかった
二人がどちらも見なかっただけだ
対話が二人を分けたのではない
対話がなかったからでもない
二人がどちらも選ばなかっただけだ
 
再びまみえることがあったら
寒さの中でコートを脱ごう
熱の中で荷造りをしよう
炎の中で別れるなら
また別れよう
 
(1996年11月12日)
 
 
  お前の
 
お前の瞳が開くために
お前の瞼を閉じてくれ
お前の光が見えるように
お前の日は落ちてくれ
お前の闇が見えるために
お前の夜は瞬きをするな
お前の種が芽吹くために
お前の花は散ってくれ
お前の土が豊かなように
お前の空は嵐を呼べ
お前の季節が巡るために
お前の時は消え去るがいい
お前の物語が終わるために
お前の伝説を作ってはならない
お前の死が終わるために
お前の命を惜しんではならない
私のお前が生きるために
お前の私は逝ってくれ
お前の私は逝ってくれ
 
(1996年11月12日)
 
 
 


   メディア
 
テレビを見ながら
きらめくスポットライト、
歌声がつくる笑顔、
まぶしい衣装、
明るいショーに
笑っている自分と
部屋のすみで嘔吐している自分と
いつか耐えきれず
うずくまる
 
拍手はちぎれてゆく紙の音
笑いはがらがらと震え過ぎた紙の声
派手な衣装は次から次へと去ってゆく
この街も変わりましたねえ
深みのない視線で見渡せば
遠い山から吹いてくる風が神の声にも聞こえよう
人格の崩れゆくとき
悪意と作為を拒んだときから
愛は悪い夢の中で目覚め
流涎して悪い現に夢を見る
 
メディアの渦巻く
エリアをさまよい
マルチでなかった神経の先端から
悲鳴をあげる
泣いても届かず
叫んでも届かず
システムから飛び降りて
渦巻くメディアの上に
乗って振り回され
はじき飛ばされた果てに
「楽になりたいのです」と
いつしか古い
ブラウン管にうつっている
 
 
  びしょ濡れ
 
ぶらりと歩いて
コンビニでお買い物
空っぽを下さい
銀行に入ると
通るべき空間がすでに用意されている
レールよりも複雑だ
時間と音さえ狭い通路
べらんめえ口調ってのはどうだろう
映画館でみている
閉じたまぶたの裏を
病のようにギラギラと波打つ闇を
公園に座っている
近くの草をむしりながら
意外と落ち着かないものだな
目的がないということは
目的があるということは
どれくらい本当のことかしら
君も遠くなったな
太古の昔のことのよう
思い出すというより
まるで想像している
君と僕に接点があったなんて
ライトをつける
ポンコツのバイクの音が
夜に響く
それよりもチクチクと
無数の虫がライトに飛び込んでくる
夏の夜の田舎道
田んぼが見えない
バイクの光だけが浮き上がる
自分が見えない
虫が当たる痛みを感じる
虫の死を感じない
この角は知っている
ふいに曲がるから
まだ西の空に
少し夕方が残っていた
夕暮れに連なる道
いつか消えて
ライトを消して
エンジンを止めると
沈黙と暗闇の中で
焼かれているものがある
ぶらりと歩いて
ドアを開けてふらついた
今日は濡れずにすんだね
実はびしょ濡れなんだ
 
 
 


  悪い奴め
 
好きなことをすればよい
今なら暇(ひま)はいくらでもある
いくらか貯(たくわ)えもある
好きなことをすればよい
テレビもある
バイクも車もある
足まである
好きなだけ影を踏みなさい
好きなことをすればよい
印鑑もある
パスワードもアドレスもある
家まである
好きなだけ光を取り込みなさい
何でも好きなことをすればよい
物があって範囲が決まる
場所があって動かない
免許があって限られる
それら皆かつては
手の届かなかった自由たち
暇はある時間はズレる
写真はいつも手配される
鏡はいつもこの眼を見ている
好きなこと好きなこと好きなこと
免許はいずれ無効になる
貯えはいずれ底をつく
手はいずれ後ろに回る
見苦しい真似(まね)はせず
文句は言わない人には温和に
ひっそり乱れて暮らす
衣食は倹約無精大好き
でも光に写せる影がない
影に成り立つ人がいない
光に倒れる影ばかり
影に潜む陰(かげ)ばかり
 
(1999年03月21日)
 
 
  悪いとき
 
機械の音や金槌(かなづち)らしい音が
鼓膜に蟀谷(こめかみ)に障(さわ)って
弾(はじ)けて切れて血だか骨だか
だんだん黒ずんでゆく
齷齪(あくせく)働いて
働いたときもありました
買ったバイク盗まれて損をして
数年後
見つかって後始末でまた損をする
アップデートファイルのダウンロードに
何時間も費やして三日間
ダイアル通話料一万円超えたかな
結局ことごとく失敗
うつろに騒いでいる虫の居所
消耗して収穫なし
働かない暇潰し
所詮みんな遊び

とフッフッフ
聞こえないようにカッカッカ
カラカラカラ
涸れた井戸から汲み上げるのが
私の権利でも義務でもありません
私の自由でも責任でもありません
私の涙でも拳(こぶし)でもありません
 
(1999年03月22日)
(まだモデムでネットしていた頃でした)
 
 
 

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