魂の讃美歌 戸田聡
心の奥の奥
その深みにあって
限りなく命に近いもの
と表わしても
実体に半歩も近づいたとは言えない
荒野に呼ばわる声がして
求めてやまないもの
弱い肉体の
心を熱してやまないもの
死にかけた肉体や
死にかけた心においてさえ
まだ燃えることのできるもの
求めることをやめない
望むことをやめない
人間の持っている
力に類するものの中で
最後まで耐え忍ぶ源
誰も作れない
誰も飾れない
しかし与えられて
人にあるもの
人を人にするもの
見るところ人には空しく
辻褄の合わない
あらゆる矛盾を孕(はら)むかのようで
果てもなく切りもなく
それでいて肉体に関わり
心に近しい
滅ぼされて滅びない
殺されて死なない
やさしい言葉から
激しい言葉まで
涙ながらに尽くしても
あらゆる形容と
定義をやすやすと拒んで
逆に以上のすべてを
生み出すもの
分けられず
分かれず
わからず
別れない
(作成年月日不明・・・HP開設の初期のものか)