祈り願え      戸田聡
 
一つの死のために祈る
一つの命のために願う
祈りは気休めだ
願いは掃き溜めだ
霊的は心理的だ
真心は悪魔的だ
それらがいかに空しかったか
祈りは自慰のようなものだ
願いは強姦のようなものだ
辻褄が合うはずもない
祈り願うことは大方
やがて無能を証明する
しかし祈り
願い続ける
祈り願え
奇跡を期待してではなく
免罪符でもなく
今の今の己のために
肉体のある限り
肉欲のように祈り願え
 
(1998年3月31日、HPにアップ)
 

  無意味の意味     戸田聡
 
すべての人はそれぞれに
生まれてきた意味がある
使命さえある
私はそれに気づいていない
気づいていない以上
それは神様だけが知っている
ということだから今
私は考える動物として
生きる意味など持とうとせず
生きることは死なずにいること
くらいの無意味で充分だ
守らねばならぬ節というものがある
それがどんなに空しく
負の人生であろうとも
私はその虚無を愛さねばならない
 
(1998年8月23日、HPにアップ)
 

  愛せよ虚無      戸田聡
 
私は虚無を愛さねばならない
笑うという虚無
喜ぶという虚無
悲しむという苦しむという虚無
ああ怒るという憎むという虚無
悔いという悔い
という虚無
それらが生み出す虚無
次から次へ
虚無から生まれた虚無を愛さねばならない
頬ゆがみ鼻汁吹き出し
血管怒張し逆流する体液が蹂躙する
痙攣と脱力の狭間に揺れる短い正気の
かすめ取られた永訣の先に
なお擦りむけた薄皮の感情があるなら
使い果たし消し去るまでに
きつく抱きしめてひたすら無視するように
私は虚無を愛さねばならない
私は私を愛さねばならない
虚無は私を愛さねばならない
 
(1998年8月24日、HPにアップ)
 
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クリスチャンが見たら怒るだろうなぁ・・・
しかも、このあと「基督の歌」載せるつもり・・・