ある朝
 
浅い眠りののち
終わろうとしている秋の
まだ暗い朝に目覚める
昨日のことを
「だったようだ」という
思い出し方をする
頭の中にもやのように
場所も定まらず
迷う悔い
何か言い損ねた
言葉でもあったのか
メモ帳に小さく書き留める
今日の予定
すでに果たされなかった夢の色
うつして小さなバラ色だ
空が白む頃には
今日の命たちの
また喜びと悲しみが始まる
捨てかねている命に幸いを
昔の歌を口ずさみながら
泣けてくる心に別れを告げて
朝の祈りをこめて
昨日にさようなら
もう少し眠れていたら
見たかもしれない夢に
さようなら
 
 
  うた
 
いつか うたも
うたを うたうことも
おおきな こえを だす
あそびに すぎなく
さけに よえば
わらうほど
よわくなりましたね
ほんとうは べつの うたを
つよい うたを
つづれるほどに
ペンを はしらせたい
うたが すべてではなく
すべてが うたではなく
ウソが あそんでいる
ことばに のって
ちがう くにへ ・・・
そのくには どこにあるのか
また みちに まよいましたね
あさの きずが みつけられない
 
 
  ろうそく
 
ふっ と
乱暴に吹き消されて
実はすすと煙でしたと見られる前に
黙って消えていくつもりかい
一二月には銀紙に包まれて
クリスマスケーキをきれいに飾っていた
小さい 赤い 細い ろうそく
季節外れの春の夜に見つけて
ほんの戯れに
今しがた火を灯した
クリスマスであろうとなかろうと
色が何であろうと
ろうそくは ろうそく
時がいつであれ
しずかに灯って
尽きれば静かに消えていく
その仕事をするためだけに
火をつけられるのを待っている
ろうそく
小さな 赤い
しずけさに耐える