
阿蘇の朝、朝霧が上ってゆく頃。
冷たい風
冷たい風
動かぬ山
火の国の 火の山
ときに山肌の色を変えて
煙と雲の向こうに
命を生む太陽
命を奪う太陽
冷たい風
動かぬビル
人の国の 人の山
ときに人々の顔色を変えて
雑踏と騒音の向こうに
命を生むシステム
命を奪うシステム
冷たい風
ふらつく私
私の国の ウソの山
ときに人々の顔色におびえて
心と体の中に
明日を生む命
明日を奪う命

阿蘇外輪山の草原に咲いていた花
阿蘇
遠く巨大な連山を前に
近くの野原で
小さく うずくまる影は
空の まぶしく
しみるような青さに
ますます小さい命を
誰に見せることもなく
緑の中に 抱かれながら
秘密のように お伽話も
音も届かないところで
舞う草と風に吹かれている

外輪山の内側の端のほうで阿蘇と空を眺める。
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