子供になる
年老いた母が
握り寿司を買ってきた
安いのがあったから
母が食べたいから
年老いた出来の悪い息子の
私にも食べさせたいから
母の愛である
食べたいのを取りなさい
と母は言う
母はへりくだる
息子の選択を優先させる
母の愛である
甘いものなどもそうだが
あたしは一つ、あんたは二つ
と愛のへりくだりも
口に出して言われると何だか・・・
以前は少しイラつきながら
耳の遠い母に大きい声で
母さんがぁー、先に取って!と
わずらわしそうに言った
最近はすっかり子供になって
差し出された目の前の寿司をにらみながら
う~ん、う~む、む~ん、むーーん、・・・??
母は少し笑って
どうしたんね、わからんとね
と言い
私は母のほうを指差す
すると母は自分の分を取って
残りを私に渡すのである
(2010年11月25日)
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