私のHPの中の「危険思想」より・・・
 
 
  人はできるようになった
 
テレビで見た
地上での核実験は
もしその下に人がいたらと考えなければ
迫力があってとてもきれいだ
一瞬のうちに大気を引き裂いて
膨張する光と炎
なぎ倒される木々や小屋
空へ登っていくキノコ雲の造形
人はこんなことまで
できるようになった
ハイテクや効率の追求にも
よく感じる
考えられないスピードと質で
人はこんなことまで
できるようになった
人間一人の
手をどんどん離れて
進んでいく技術が
いつかこの星を
奇形の星に変えてゆくのかもしれない
 
(96年か、それ以前?)
 
 
  実存的にたとえると
 
千人殺した者を
英雄と呼ぶのは
百人殺した者たちである
百人殺せない者は
落ちこぼれたり
いじめられたりして
そのまま消えていくか
せいぜい数人を殺して
刑務所に入ったつもりで
おびえている
一人も殺してない?
いや確かに百人殺した
何故なら「まだこれからだ」
「負けるものか」と思っている
そのようにして勝ち負けがあり
勝負があり
戦いの結果があり
生死があり
次から次へ死が見過ごされ
数え切れない死の種がまかれ
数え切れない生が摘み取られ
英雄がいて
凡人がいて
凡人になれない人がいる
これを健全な社会という
ところで
かつて百人殺した私だが
今から何人殺せるだろう
心細い
何故なら「もうよかろう」
「負けた」と思っている
 
(1996年11月20日)