水の淵
 
生産物のやり取りもない
何も生産していないから
そのあいだ
この世を搾取している
水の色の淵
察しをつけて思いやるつもりで
ご迷惑をおかけしないように
関わりをできるだけ避けて
何の文句も言わずに
入力だけで出力しなければ
悪い影響も最小限に
 
しかし出力をゼロにすることは出来ない
誰も見なくても見せたいときがある
見せたくて作るときがある
生産ではないのに
様々な水の色
抑えられないことだけ
心の中で少し謝って
 
良かれ悪しかれ
水の色を様々に変えた出来事がある
経験は否定できない
しかしどうしても変わらないものが
救い難くずっとあるようだ
それが何かは定かではないが
良かれ悪しかれ認めざるを得ない
あるということだけ
 
目一杯の慈愛を持って
伝え教えてもらった正しさが
正しいかどうかを疑ってしまうところに
厄介でありながら捨てられない「ある」は
深く
あり続けている
様々な色の水を
取りながら捨てながら
こぼしながら
 
(2011年01月22日)
 
 
  彷彿
 
ワイパーが水滴と一緒に
視界を拭(ぬぐ)い去る向こうに
道はあるとアクセルを踏むから
車は暗がりを轢(ひ)いてゆく
 
ときに所々の街の灯(ひ)が
一瞬だけ信号に見えたりするから
ブレーキは早めの後ろから
大型トラックがぴったりついて来る
 
進めばよいのか止まればよいのか
後退でもすればよいのか
最初から出かけなければよい
飛ぶこと以外望まないのなら
 
空色の信号が浮かんでいる
そこでもチェックは厳重だ
拭い去れないものを火が乾かす
拒めば落ちてゆくことだけには限りがない
明るい人も大地も星も
水天彷彿(ほうふつ)皆落ち続けている
 
(2002年02月28日)