保証のない契約
 
改めて保証のない契約について
私は語れたらと思う
生まれて初めて他者に気づき
生死の是非を自らに問うたときから
いかに私が裏切りを重ねてきたかを
しかし私は語れない
そのことばかりは
私は遊んで暮らすのです
転がるプライドを箱に納め
数々の諦めを袋に集め
泡立つ無知を吹いては鎮め
今日も春風に震えながら出掛けるのだ
行きて帰らず
それでもいいのです
目的地は着いてから探す
ああ埒(らち)もない
この春に芽吹き過ぎた
草木たちにでも聞いて下さい
私は知り得ないでしょう
なぜ見送ってしまったのか
この春までに散っていったものたちを
私が何度
馬鹿野郎と呟いたかを
 
(1998年3月29日)
 
 
  幻と命
 
机上の陽気な景気は
蜃気楼への逃げ水だから
命は飛んで火に入り
あとは焼けた屍を見渡して
ざっと数えられたら数えるだけの
夢の残骸のようなものだ
 
火の玉になって飛び出すぞ
 
肉は焼けるが
魂(たましい)は火の魂(たま)に
あらゆる魂になって飛び出すだろう
夢でも幻でも残骸でもなく
ときとして永遠に迫るものを
残ったものに遺してゆく
命とはそういうものだ
 
(2007年03月12日)