同一性
同一性障害という病名がある
自我障害という症状がある
これらは本当に
その名に相当する障害なのか
病気なのか
症状なのか
人の常ではないのか
自分が自分であるという明証性なら
夢の中でも持っている
昨日の自分と今日の自分が同一人物
という連続性
本当か
忘れっぽくなったという自覚は
忘れっぽい自分をまだ失ってはいない
忘れたことさえ忘れたら
認知症の世界だが
はたして本当にそれだけだろうか
欠けたことに
欠けた後の自分が気づくだろうか
欠けた後の自分が自分なのだ
よかれあしかれ
今日得るもの
与えられるもの
こびりついて身につけるもの
ゆうべに失い
あしたに得るもの
ああどこか
祈りにも似て
気づくことを忘れ
気づかないことを常としている
同一性を疑いもせず
疑ったところで何も得られず
変わらないと信じて
信じることさえ忘れて
変わらないと信じることさえ変わって
日々自分は自分でなくなり
自分とは異なるものになってゆく
それが良いとも悪いとも分からずに
失い
得て
人は移ろい変わり
成長なのか
退行なのか
完璧な乖離へ向かっている
(2011年10月28日)
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どこか、前に書いたような気もする、更新です。
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