TV「たけしのコマ大数学科」最近の問題から
「頂点同士が追いかける正多角形」
 
問題:
 
一辺の長さAB=5mの正方形ABCDがある。
AはBを、BはCを、CはDを、DはAを、
同じ速度で追いかけるとき、
AがBに追いつくまでの道のりの距離を求める。
 
 
解答例:
 
動点が動点を追うのだから、
軌跡は曲線になるだろうと推測できる。
また
各頂点の動く条件は同じだから、
各頂点の曲線は同じ形になるだろう。
そうなると
AがBに追いつく点は、BがCに追いつく点と同じだから、
つまり4頂点は同じ点で重なり、
それは正方形の中心で、点対称になるだろう、
曲線は恐らく螺旋になるだろう、という直観的理解が可能である。
 
それを大まかに描いたのが下図右であり(不正確)、
微小な移動距離を誇張して描いたのが下図左である。
 
軌跡の曲線や頂点間の距離を
関数で表すことが出来ればよいのだが、
それは難しくて出来なかった。
ここでは、ベクトルを考えてみる。
イメージ 2

上の左の図において
Bの速度ベクトルは、Aの速度ベクトルに対して常に直角である。
ということは、Bの速度ベクトルは
Aに近づく成分ベクトルも遠ざかる成分ベクトルも持たない。
つまりBのほうはAに近づくことも遠ざかることもない。
言い換えると、
相対的にBは動かず、AがBに一定の速度で近づくのと同じである。
したがってAがBに到達する道のりの距離は、
一辺の長さつまり最初のAB=5m ということになる。(答え、確認済み)
 
 
正方形では軌跡の長さは一辺の長さに等しくなったが、
他の正多角形では、そうはいかないようだ。
 
正三角形では60°の角度があるから
Bの速度ベクトルはAの方向に近づく成分ベクトルを持つ。
 
正五角形では108°、正六角形では120°というように
正五角形以上では、90°より大きい内角を持つので、
Bの速度ベクトルはAから遠ざかる成分ベクトルを持つ。
 
ここでは
正三角形と正六角形について軌跡の長さを考えてみる。
イメージ 3
 
上図左に示すように
正三角形では、AとBの相対的関係において、
AがXだけ進む間に、BはX/2だけAに近づく。
ゆえにAがBに到達するのは、
Aが一辺の長さ5mの2/3進んだときである。
(そのときBは5mの1/3だけAに近づく)
したがって軌跡の長さは、(2/3)×5=10/3mとなる。
 
上図右に示すように
正六角形では、AとBの相対的関係において、
AがXだけ進む間に、BはX/2だけAから遠ざかる。
 ∴ 図のように、X-5=X/2 → X=10
つまり軌跡の長さは、一辺の長さの2倍、10mとなる。
 
なお、頂点が多ければ多いほど、
内角が大きくなるので、
BがAから遠ざかるベクトル成分が大きくなる。
つまり、それだけAがBに到達する軌跡の長さは大きくなり、
螺旋は渦巻きのような形になるだろう。
 
同じ円に内接する正多角形を考えると、
頂点同士は
近いほど、出会うのには長くかかるのである。・・・(苦笑?)
 
そしてその極限は、蛇足として下図に示すように、
直線上を同じ方向、同じ速度で移動する2点のように、
永遠に出会うことのない2点に近づいてゆくのである。
 
イメージ 1

(2011年11月04日、同日、図など若干修正)
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正方形については答えをTVで確認してますが、
正三角形と正六角形については答えは未確認です。
間違ってるかもしれないので、コメントいただければ幸いです。