顔
戻ってやり直せる顔が何処にある
産道から虐待から苛めから
転落から落胆から老衰から
屍に向かって
こすれ潰れてゆく
何という仮初の顔をさらして
うそぶいてきたのか
風に向けた顔が
濡れていても腐っていても
いずれ干からびた不在へ
いつの日もこの地上に
ふるさとはなかった
やり直せる顔が何処にあるだろう
幸福
幸福という名は
いかなる刹那に付与されたか
大きさも形も
当ても果ても知れぬ時の位置とは
通わせている
通じ合っている
交わす微笑の何処まで
今はとどまっているだろう
雨に濡れ
剥がれかけたポスター
(2013年09月06日、同日一部修正)
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