一瞥と一別
一人が別の一人に出会うというのは
必ず奇遇であります
また出会ったすべての人について
一人は別の一人と
必ず永訣の定めを持っています
しばしば不愉快になって
一瞥かぎりで早々に
一人は別の一人を切り捨てています
それを選択とも言いますが
恐らく取捨の捨のほうが多いでしょう
それは良かれ悪しかれ一種の欠落です
関わらなければ不愉快が減り
無視したほうが楽だからです
それは必然であるかもしれないけれど
切り捨てる癖をつけると
折に触れて切り捨てることを繰り返します
つまるところ
そこにあるのは時々の安定を求める姿でしょう
快楽原則に従っているのです
切り捨てれば衝突や苦難から
害と同時に教訓を得ることもなくなります
好ましい別の人に会えば別の教訓を得られるけれど
その教訓は苦を伴わず
しかも快楽追求の選別された出会いによるものなので
自分に似たものを自分に重ねているに過ぎません
衝突を避ければ事故は防げるので生きやすい
その代わり
衝突しなければ得られない産物を
一瞥の選択によって
永久に放棄することになります
一人は別の一人に必ず永訣の定めを持っています
その定め以上に正当化された永訣によって
人は欠落を育んでしまうのです
死活ならば止むを得ず
必要ならば必要悪ですが
永訣は告げたのか告げられたのか
そうして人は多かれ少なかれ
欠落を増大させながら
自己を増幅してゆくのでしょう
(2013年11月08日)
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