悪・一
 
 
相手を悪だと怒るとき
自分は紛れもなく悪なのだが
気持ちを落ち着かせて
自分は悪だと気付いても
相手はもっと悪だと思っている
だから
自分はますます悪なのだが
・・繰り返す・・
 
 
 
悪・二
 
 
うんざりだと
ほぼ反射的に嫌悪して
切り捨てる
先がなくなる
 
先を無くする
という意思表示か
感情表現か
 
眺めているのは
目の前の空気の虚脱と
どこか
とんでもなく遠く
得体の知れぬ世界の風景

 
 
 
悪・三
 
 
知的社交界に居たいのか
デビューしたいのか
しずかに語って
しずかに聞いて
通じなくても頷いて
穏やかに交流しましたという体で
バランスの取れた世界で
冷静に対処するのが大切と
誰かを諭したいのか
 
それとも獣道を駆け巡って
人のも自分のも壊したいものがあって
弾けて弾かれていたいのか
自分が自分であるために?
 
でもどちらも失敗してるじゃないか
どちらも悪じゃないか
 
獣は社交をしない
社交は牙を隠す
 
自分はいつも
自分じゃない
 
 
 
(2013年11月26日、同日加筆修正)