伝達
 
 
瞳と表せば
 
ある人には
瞼から虹彩から網膜までの
解剖学か光学的興味になり
 
ある人には
澄んだ眼差しや美人や
視野とか洞察とかの話になる
 
ある人には
いくつかの絵画や写真の中の
印象を想起させるだろう
 
表現といっても
 
文章に表わせば
しばしば語彙と論理の
概念がんじがらめの無味乾燥となり
 
ポエムに表わせば
たちまちアレルギーのように拒否されるか
誤解されるか無視されることにもなるだろうし
 
非言語で表せば
ときに著しく具体性を欠いて
何を言いたいのかさえ不明瞭になってしまう
 
口を酸っぱくして繰り返しても
虚無の反響に悩まされる繰り返しなら
 
いくら寛容に受け止めようと
譲歩できるだけ譲歩して理解に努めても
熱意の大方は干物になってゆくなら
 
人間共通の意味は
個々人それぞれのセンスによって裏切られる
 
干物をどうすればよいのか
 
めげない心で熱の伝導と伝達を繰り返すか
様々な手段とその併用を試みるか
感嘆すべき飛躍に期待を寄せるか
 
多くのとき伝わらず
あるとき恰も不意に伝わるかのようで
説得力は儚げな生き物である
 
 
(2014年05月20日、同日一部修正)