映画「午後の曳航」(三島由紀夫原作)
 
 
この映画を見たのは昔、若い頃になりますから
記憶は不正確なのですが、
いくつかのシーンとセリフが印象に残っています。
 
港町に住む少年と母、少年の友だち、
そしてたまたま港にやってきた船乗りの物語でした。
 
ある日、船乗りと母親が知り合い仲良くなります。
少年は船乗りから航海の冒険話を聞いて興味を持ち
英雄として尊敬の念を抱きます。
船乗りは去り、少年は思い込むのです。
「英雄は去り、戻っては来ないものだ」
 
しかし船乗りは母親に会うために再びやってきます。
少年は壁の隙間から見てしまいます。
母親が独りで寂しさを慰めるシーンを、
そして船乗りとの二人の夜のシーンを・・
 
それに気付いた母親はショックを受けて少年に泣き叫びますが、
母親と共にいた船乗りは二度と見ないように注意をします。
少年は友だちの言葉を思い出して呟きます。
 
「彼の言うことは正しい。殴られるより悪いことがある」
 
少年は仲間たちと猫の解剖をします。
そのシーンが妙に美しい映像として描かれていました。
 
そして睡眠薬入りのコーヒーを用意して
冒険話が聞きたいと船乗りを呼び出して
仲間と一緒に小高い丘の上の野原に座ります。
コーヒーを飲んで船乗りが眠くなり首を垂れ
うつむいてゆくシーンで映画は終わります。
 
(少年たちは船乗りの解剖を企てているようです・・)
 
 
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佐世保の少女殺害の事件をニュースで見ていて、
この映画を思い出しました。猫の解剖・・
少女は所謂サイコパスなのか、
それともひょっとして親の夜のシーンでも見たのだろうか、
人を獣だと思えば、獣として扱ってしまうことも・・など
余計なことを考えてしまいました。失礼・・
 
 
(2014年08月02日)