喪失(3)
 
 
自分が特別に持つものを
誰もが持っていてはいけないのだが
優しさの当為に迫られながら
ジレンマの吸い口を舐めている
 
武士道にも似て
想念と心中を図る熱心は
勘繰り勘繰り目覚めと就寝に
称賛のレシートに落とされてゆく
 
辛さに打ちひしがれて萎れる野草
跳ね腰を失ってなお被さるために
継続する札読みを夢想して
永久の竹林に桃源の壁を作る
 
別れを告げて背後に回り
沈黙のうちに乾燥を保持する務め
表裏の心で笑顔を固めるために
不渡りのパッションを扇子に隠す
 
讃美の涙は口角に溢れ
強酸の体液を裏打ちしながら
ピリオドの守るものが悍ましくて
いつも喘ぎながら
デッドラインにかける濁点の紙やすり
 
 
(2015年03月27日)