驚くほど
 
 
誰もいない
誰もいない
驚くほど
 
もうすぐ
すでに侵された精神を
さらに病んで
信仰者なんか一人もいない
と言い出すだろう
 
生まれて六十年
長く生き過ぎた
この四十年
生きる必然がない
何度も何度も
死なせてくれと祈っていた
 
心身ともに衰えたこの時期に
何ゆえ
このような徒労を
重ねなければならぬのか
何もない
何もない
 
気軽に書いていただけなら
改めるのは難しくない
ごまかしながら
同じことを押し出すのは
焼け石の熱を隠しているからだ
 
すでに人と人ではない
人間くずれと人間ばなれ
もうすぐ
人間くずれは消えてゆき
人間ばなれは喜ぶ
残念と見せかけて
 
罪の報いは死とばかり
ほくそ笑む
 
誰もいない
誰もいない
もう驚かない
 
もうすぐ
鼻水か涙か
得体も知れず
しずく一滴となって
地に落ちて果てる
 
 
(2015年06月02日、同日一部修正)
・・発散・・