病因
アンケートの補足として精神疾患の病因について
・・大したことは書けませんが・・
アンケートに社会的病理と書いたことから(前の記事)
病気ではないから薬は飲まないほうがよい
みたいな印象を持たれては困るので書いておきます。
統合失調症も鬱病も症状から言って病気である
という認識は持っていますし
つまり社会的な判断に合意してはいるのですが・・
ここでは広く病理や病因ということを
考えてみたいと思います。
精神疾患の病因を考える場合に特殊なのは
私が昔習った病理学で
主に光学的顕微鏡で明らかな病変として
1.炎症、2.循環障害(出血、血栓など)、
3.腫瘍、4.変性、5.奇形、
という5つがあります。
病理解剖の組織診断や癌の細胞診などで
必須になることです。
精神疾患には
上の1.~5.の病変が認められないものがあって、
脳の器質的疾患ではなく、
脳の機能的疾患と言われています。
一つは神経症や心因性のものなどです。
心因とは
内因としての性格と外因としてのストレスが含まれます。
心因は多くの精神疾患に影響しているでしょう。
そしてもう一つが内因性と言われるもので
遺伝素因が主因と想定されている病気で
統合失調症や内因性鬱病などがありますが
上の1.~5.の病変が見られず
前にも書いたことがありますが
神経接合部(シナプス)での
神経伝達物質の多いか少ないかが代謝異常として
指摘されていますが
仮説は色々あるものの
例えば、電子顕微鏡的病変や遺伝子異常や
代謝における欠損などの病因としての決定的な異常は
確定的には見つかっていないと思います。
それで症状としては明らかに異常と判断されるけれど
病因は仮説以上には分かっていないことから
社会生活上不利益をもたらす病気として
神経伝達物質の多いか少ないかを
逆方向に(是正)してゆく薬剤が治療として用いられて
それなりに効果が認められてきたということでしょう。
精神病理学という学問がありますが
これは自然科学的アプローチが未発達な時代の
症状からの考察によるもので
心理学と並んで精神医学における人文科学の分野です。
心理学は統計や実験による根拠に基づいていたり
例えば認知療法のように実践的効用が
認められていたりしますが
精神病理学は
哲学のような・・といえば失礼かもしれないが
常識に始まってドグマに帰結するような印象があります
・・私見でした・・失礼・・
※1.~5.の異常ではなく病因が示された疾患として
例えば先天性代謝異常などは
代謝に必要な酵素の欠損や遺伝子の異常
というところまで病因が究明されているようです。
精神疾患にも定説か証明と言えるような発見があることを
期待します・・というような話になってしまいます。失礼。
(2015年08月05日)
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