喪失の
 
 
新しい粘土の捏ね方を知らず
水のように
絶え間なく溢れて
欠損を表出するナイフ
 
知らないで来た山道に
屈折した斜光が乱れ落ちる
虹のように
痛々しい細かさで
 
縁を求めても徒な綾取り
出会う前は別れており
地に倒れる影のように
出会えばまた分かれてゆく
 
朝霧が昇天する前に
大気の引いてゆく冷やかな兆しは
あなたが微笑んでいるような
鏡の向こうから問う姿
喪失に距離はないのに
 
 
(2015年09月03日)