二項
嬉しいと思える恵みは
同時に試練だ
喜びのために思い上がらないようにと
試練としか思えない悲しみは
同時に恵みだ
生死を超える神だけの民になるため
失望は新たな願いを生む
絶望は否応なく希望を生じる
その希望が次々に消えてゆくとき
絶望は強く迫ってくるので
人は成り行きを思い
運びを思わざるを得ないだろう
恵みと試練
希望と絶望
相反するような二つはともに
神と人の間で
御心と心が奏でる調和とも言える
しかしその調和と一致を
人はごく一部しか理解できない
その調和は人が保つのではない
人は自分自身についてさえ
存在のバランスを保ち得ない
存在のバランスと調和は
常に神のもとにあり
人が調和に到達するのは
人の終末と世の終末においてのみであり
だから人は生きている間
自らの存在について
調和やバランスを保とうとしてはならない
反対に見えて
同時に存在することのないように
対立している二項は
神によってのみ調和するからだ
そこにおいて人の言葉は空しくなる
人間の尊い言葉と
一期一会と一所懸命の捧げものを通して
地上の命では見ることの出来ない憧れとして
神の世界において
秩序と慈愛は一致して
二項は調和した存在の
一つの表現形式に過ぎなくなるだろう
そこにおいてのみ
神と人は一つの生命になるからだ
(2016年01月05日)
奏でる(かなでる)
嬉しい(うれしい)
否応なく(いやおうなく)
一期一会(いちごいちえ)
憧れ(あこがれ)
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