真実
 
 
揺さぶられることを拒否して
自らの心を不変の神の心に擬する者は
信仰と称して迫害を営むことになるだろう
 
神をお伽話でも譬え話でもなく
世界の真実を知っていると
人が豪語すればするほど
人ひとりが知っておくべき真実からも遠くなってゆく
 
人の心は波の上の木の葉のようなもの
 
変わらないと信じて変わり果てる
 
憧れは今は地上で
お伽話か譬え話のようにしか
語られず聞かれない定めのようである
 
来たるべき日に成就する事柄は
未だ来たらざる日に語り尽くせるものではない
 
形を持たない心や霊の話を
私たちは目にも手にも空しく貧しく
儚く尊い波として受け取っている
 
お伽話は波を伝えて果てしない
 
譬え話は波を伝えて果てしない
 
受け取ったものに一対一で対応するような
言葉の完成型を人は未だ知らない
 
波は同時に欠片であり
人の心は浮遊して
神の心に
祈りという小さな波を伝えるだろう
 
受け取るものに対応するのは祈りだけだ
 
人は神の道を歩むと言いながら
ひとりひとり違う意識を先立てている
 
人が地上で知る神の言葉は
人にはお伽話か譬え話として映るのが精一杯で
人の命はそこに置かれ
揺さぶられながら
神の懐に還流してゆく途上だ
 
 
(2016年01月06日、同日一部修正)
 
自ら(みずから)
擬する(ぎする)
称する(しょうする)
お伽話(おとぎばなし)
譬え話(たとえばなし)
儚い(はかない)
精一杯(せいいっぱい)
還流(かんりゅう)
懐(ふところ)