人間ブレーキの故障
 
 
人間の血と汗と涙に無関心で
神の超常の
救いの奇跡にばかり気を取られた者は
何かにつけ
超常の救いと
超常の筋書きばかりを思い浮かべる
 
艱難に際しても
人間としての共感がないために
聖書から
夜のうちに滅びる人の話を引用して
結果として
富に執着すると艱難が起きて滅びますよ
という脅迫めいた話になってしまうことに気づかない
そして
艱難を思いやっている自分は信仰者らしく
聖句を引用している自分は信仰者らしく
説教を書いている自分は信仰者らしい
というふうに
信仰を表すつもりで
超越世界に住んでいる自我を表してしまうことになる
 
超常信仰によって
心が向くところ何でも
超常に結び付けないではいられなくなるからだ
人間が本来持っているブレーキによる調節機能が
それこそ信仰と自称しているものによって
壊されているからだろう
 
 
(2016年04月20日)
 
艱難(かんなん)