人間としての考察
 
 
聖書は神の言葉だとして、解釈せずに文字通り受け取ろうとする向きがあるようです。しかし、文字通り受け取ることも解釈なのです。
 
聖書には、文字通り受け取ると、一見、逆の意味を表すような記述があります。
 
「神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、」
 
「わたしがこの世にきたのは、さばくためである。」
 
という二つです。ヨハネによる福音書の聖句で、下のほうに少し長めに引用していますが、前者は著者の記述、後者はキリストの言葉です。
 
文字通り受け取ったら、分からなくなりそうですが、実際は、それほど難しくはない箇所です。聖書において、文脈、状況、などから、何を言いたいのか、といったところを考えてみると、分かりやすいでしょう。すなわち、聖書についての解釈と考察は、必須だということです。
 
 (ヨハネによる福音書、口語訳)
3:16
神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。
3:17
神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。
3:18
彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。
 (ヨハネ書3:16-18、新約聖書)
 
先ず、キリストが遣わされたのは、救うためだという意味のことが書いてあり、そして、裁くためではないことは信じることに、裁かれるのは信じないことに対応し、信じないことは、既に裁かれている、と言っています。
 
これを、信じる者は救われることの裏返しとしての脅迫と受け取らないでください。
 
私の考えとしては、信じない者は、自分で決めて、人を裁き、その結果、人に決められて、自分が裁かれるという必然がある、と言っているのだろうと受け取っています。まさに、世の中、そのような裁き合いに終始しているところがあるからです。これも、解釈の一例です。
 
 (ヨハネによる福音書、口語訳)
9:39
そこでイエスは言われた、「わたしがこの世にきたのは、さばくためである。すなわち、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるためである」。
9:40
そこにイエスと一緒にいたあるパリサイ人たちが、それを聞いてイエスに言った、「それでは、わたしたちも盲なのでしょうか」。
9:41
イエスは彼らに言われた、「もしあなたがたが盲人であったなら、罪はなかったであろう。しかし、今あなたがたが『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある。
 (ヨハネ書9:39-41、新約聖書)
 
ここも文脈を考えてみると、裁くということが、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるため、と書いてあり、そして、41節には、見えないということに盲人を対応させ、『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある、と書いてあります。
 
私の考えとして、この見えるということには、パリサイ人たちが旧約聖書の言葉から戒律を絶対として、それで十分わかる、すなわち、見える、知っている、と決めつけて言い張っている、ということを指しているのだろうと思います。
 
盲人の喩えに加えて、よく知られている喩えを挙げておきます。
 
 (マタイによる福音書、口語訳)
9:12
イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。
9:13
『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。
 (マタイ9:12-13、新約聖書)
 
つまり、「さばくためではなく」と、「さばくために」という、ヨハネ書の二つの聖句は、いずれも、見えると言い張ることが出来ない罪人のための救いのメッセージなのです。
 
さらに関連聖句を二つ引用して結びといたします。説明は必要ないと思います。
 
 (ホセア書、口語訳)6:6
わたしはいつくしみを喜び、犠牲を喜ばない。
燔祭よりもむしろ神を知ることを喜ぶ。
 (ホセア6:6、旧約聖書)
 
 (詩篇、口語訳)51:17
神の受けられるいけにえは砕けた魂です。
神よ、あなたは砕けた悔いた心を
かろしめられません。
 (詩篇51:17、旧約聖書)
 
 
(2018年06月28日、同日一部修正)
 
喩え(たとえ、譬え)
辿る(たどる)
燔祭(はんさい)≒ 焼き尽くされる生贄(いけにえ)を捧げること
 
 
6月22日には、さすがに気力も失せた感じで
もう書けないだろうと思っていましたが、
コメントによって触発されるところもあり助けを得て、
似たようなことを書いているとは思いながら、
昨日、ようやく7月1日までの
下書きのようなものを書くところまで辿り着きました。
 
記事を読んでくださった皆様に感謝いたします。
 
 
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