縊死(いし)
 
 
幾人かの自殺者が残していったものは
あまりにも急な沈黙に終わってしまって
動機も理由も結局は不明のまま
明確に語れる者は誰もいなくて
噂だけが煙幕のように漂ってはくるが
口の中でムニャムニャ
聞こうとして聞くに憚(はばか)り
そのムニャムニャが胸の底まで沈んでいって
さらに病みながら片隅にあるばかり
 
キリスト教は禁じているといっても
自殺しない保証は何もないから
せめて「ごめんなさい」と祈りともつかぬ
最後の独り言を今更のように戯言を
そのときには呟くしかないのだろうか
 
縊死とは
首を括り首を吊る
すべては自分の意志において
 
自分の意志?
自分の意志とは言えないのは
自殺の意志は意志ではなく
逃げ場を失ってゆくことだ
 
自分の責任?
責任の取りようがないのが自殺だ
 
いつの日からか
我が身から出たものは
いずれ我が身に返ってくる
その顔が溢血点や鬱血や
腐乱や浮腫でどんなに醜くても
正視しなければならない
と気づいたときから
自分で自分の首を絞める
という縊死は
繰り返される日常の中にある
 
 
(1998年2月8日)
(2019年05月16日、修正)
 
 
 
  この世と自殺
 
 
いったい何度
この世は滅びれば済むのだろう
いったい何度
この世を滅ぼせば済むのだろう
 
自分が死ぬことは自分にとって
この世が滅びることではないのか
この世を滅ぼすことではないのか
怨念?腹いせ?絶望?
 
今が苦しいから
今の苦しみから逃れたいのは
当然のことなのだが
今という過程が
結末になってしまって
病める心は暗い今から
過去も未来も真っ黒に染めてしまう
 
食べるものが今あることに
祈りさえしながら一方で
何を見るでもなく視線を
肩を落として呟く
「よいことなど何もないのに」
「のに」は臆病だろうか
希望だろうか
どちらも持ってしまう
のに
 
食って出して寝る
食って出して寝る
何もかも問いのままだ
問いは問い続けるしかない
 
いったいどれほど多くを
この世は滅ぼせば済むのだろう
いったいどれほどの滅びを
この世は見過ごせば済むのだろう
 
もし つらさを いやせる つながりが あたえられていたなら
 
もし すこしでも やさしい きづかいに であっていたなら
 
 
(2011年01月05日)
(2019年05月10日、修正)
 
 
 
  自殺について
 
 
自殺者はいつも
いちばん言いたかったことを
言い損ねて死んでしまう
 
したがって口を失った彼が
残された人々によって
嘆かれているうちはいいとしても
時には根も葉もないささやきの的になったり
とてつもない大罪を背負わされたりする
それでも死者は黙っているほかはない
 
もうだめだと思ったときに
他人を殺す人間もいれば
もうだめだと思ったときに
自分を殺す人間もいる
 
人がみんな死ぬときに
弾丸の間をすり抜けて生きのびた人間もいれば
人がみんな生きるときに
ひとり天井を眺めながら死んでいく人間もいる
 
死ぬ ということは
もう出会わないということ
ひょっとしたら
生まれてこのかた
誰にも会ったことはない
と言うことかもしれない
 
残された友人はただ
薄暗い電灯の下から
ふと泥のような顔を上げて
曲がった指で指差すだけだ
見ろ あいつが出ていったあの場所に
扉もなければ窓もない
 
自殺がどんな腹いせで
どんな恨みに基づいていようと
自殺者がどんな病気で
どんな不幸な目にあったのであろうと
自殺はいつも一つのことを告げてはいる
生きたかったと
 
 
(96年より、かなり前)
 
 
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2011年ごろの話でしょうか。
その頃の記事に
 
子沢山の家に生まれて、貧乏芸能人?とか
呼ばれていた女性タレントが自殺したそうです。
昨日か一昨日か、収録はもっと前でしょうけど、
テレビに出ていました。笑顔いっぱいで・・・
 
と書いてありました。
 
 
(以上、2019年05月16日、修正&再録)
 
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