ウソの国-詩と宗教:st5402jp

キリスト信仰、カルト批判、詩のようなもの、思想・理念、数学・図形、などを書いています。

2010年09月


  年を経て
 
僕にも二十代、十代があったんだよ、と
自分でも信じられないから
心に叫ぶのでしょう
 
今は違う若さから
成長してきた人々の間にいて
全然知らない人生の結実を垣間見ている
 
同じような風景でも
違う生き方の中で
たとえば空も
それを見ている人が
それを見ている間
その人の意味をもつものなのでしょう
 
忘れられない場面
重ねて
遠く
別の人にはまた別の
忘れられない出来事
 
心の層に積み重なって
見えないものは見えないまま
関わっている
人の動き
 
ある日 誰でもいい
人の笑顔が
妙に懐かしく思えるときがあります
 
(96年か、それ以前)
 
 
  残照
 
窓からこぼれてくる
残照を
拾おうとしている
 
拾おうとした
あの日
抱きしめた偶像が
崩れていくのを拾おうとした
真っ白になった目の前で
ぽたぽた落ちて広がる
失った熱を引きずって
ぬるりと臭気の中で
足場がなくなるのを
切り裂いたものだと知った
 
もう二度と真っ白になれない
残照
残したもの
もうとっくに沈んでしまった
もう暗い
もう遅い
もう遠い
今は
あの山の向こうにでもあるんだろうよ
あの日壊れたものは
今も壊れたままだけどね
 
(1996年12月8日)
 

 
  御国への希望
 
来世に寄せる望みは儚(はかな)い
見えない何かは やはり見えない
天国は見えない
地獄は見たくもない
今度生まれてくるときは・・・
この世には生まれてきたくない
しかし
召されて死んで
御国に至る希望に生きる
ほかにない それでよい
死後の世界など分からない
御国がどんなところか
知らない しかし
希望は抱(いだ)かれるとき
常に現在形である


  エゼキエル三十三
 
わたしは生きている
わたしは悪人の死を喜ばない
むしろ悪人が
その道を離れて生きるのを喜ぶ
 
義人の義は
彼が罪を犯すときには彼を救わない
わたしが義人に
彼は必ず生きると言っても
もし彼が
自分の義を頼んで罪を犯すなら
彼の総ての義は覚えられない
 
と主は言われる
 
正しいと思ってすることも
それが自分の義か
主の義であるか
を考えることは大切である
それを考えれば答えは
「わからない」 よって
もし自分の義に過ぎないのならば
主の義に導いてください
もし罪を犯したのならば
お許しください という
祈りに至るから
 
私は主の羊
主の牧場(まきば)の羊
心安らかに荒野(あらの)に住み
森の中に眠りたい
 
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「わたし」=神、私=人、かな・・・ 上の文章は
聖書の内容と一致しているとは限りません。

 


  保守的
 
人工妊娠中絶は罪です
同性愛は罪です
同様に
売春と買春は罪です
不倫と浮気は罪です
離婚は罪です
生涯に二度以上
結婚することは罪です
生涯に二人以上の異性と
肉体関係を持つことは罪です
主の御言葉
「情欲をいだいて女を見る者は
心の中ですでに姦淫をしたのである」
情欲を抱いて女を見ることは罪です
罪を犯さずに
生きられる人がいるでしょうか
 
神様は
みだらなることを最も嫌われる
同性においても
異性においても
罪の軽重は神様がお決めになります
全知全能の
父なる神様は全てをご存知なので
正しく裁かれるでしょう が
ひとりひとりの人間の
詳しい事情も知りえない罪びとが
他の罪びとを裁こうとするなら
目の塵と梁の譬えに似てきます
 
人の罪を責める前に
自らの罪を省みれば
ねたむ神の怒りを恐れます
神様は永遠に
変わることがありません
人の中で
人が変えてしまうものがあるから
保守的であることを
貫くために
心と口に
神様への恐れと慎みが
与えられるように祈ります
 


  泣けない
 
を見たときから
夕日の逆光の下へ落ちていく
牛の群れのように
低く
うろたえる
うごめき と どよめき
 
を見せたときから
単純に解明されて
売り物にならなくなった
ひきつった笑い
すなわち泣きを
遠巻きにする無関係
 
を知ったときから
言い返す言葉もなく
息さえ圧力をもって
それた視線を押してくる
鈍い黒光りの
ふつうであった
 
ををを
  
 
  荒療治
 
ダニか他の虫刺されか
赤いブツブツ
かゆいけれど
かけば汁が出てひろがる
悪いものはたいていそうだ
毒には毒をと
タバコの火、近づけて
熱さが、痒みから痛みへ
一、二秒がまんして
軟膏を塗る
この荒療治は、しばしば
やり過ぎて水疱をつくる
破って中の液を
ティッシュで吸い取り
また軟膏を塗る
何カ所かやって
ひとつだけ治らない
絆創膏でかぶれて
ますます赤くなって痒い
悪いものはたいていそうだ
またタバコであぶったり
ちり紙でゴシゴシこすったり
手持ちのあらゆる軟膏を塗ったのち
愚かなことをしたと気づく
愚かなものはたいていそうだ
 
 
 


  きっと恥
 
引きつって声にもならず
みすぼらしい人格を残したまま
端から端へ滑って転んで
探し物でもしてるふり
山に入るか川に潜るか
きっと答えは街の中
こだまして泣いてこぶだらけ
 
 
  きっと夜の部屋
 
換えたばかりの蛍光灯
これでパッカパッカと黒ずんだ
口を開けたり閉じたりを
当分は見なくてすむのだが
昼間より明るいわけはなく
後ずさりの気配の後
スイッチ切って
ドアを閉めた途端
闇という闇は押し寄せて
大きな大きな目を開けて
この夜は一体だれのもの
きっと朝までにらめっこ
 
 
  挨拶したので
 
「やあ」
「おう」と
手を上げたまではよかったが
そのときパリッと欠けてしまったので
とりあえず型だけ取って帰った
大きくも小さくもない
部屋のすみで
ほこりをかぶって
ひびわれたそいつの
名前をまだ思い出せないでいる
 
 
  流れ星みたので
 
またひとり
この世の果てのような
草も木もない崖っぷちに立って
靴を脱ぎ
手を合わせ
誰かにあやまって
ひょいと飛び降りたとき
飛んできた花火が
ぐさあと首の後ろに突き刺さって
しばらく噴射しつづけたので
うっかり軌道に乗ってしまって
落ちつづけてる奴がいる
 
 
  まずい味噌汁のんで
 
足元をすくわれたと思って
ポンと辞表を置いて
「くそくらえ」とでも言ってから
帰ってきた腐った脳みその
脳だけ置き忘れてきたので
俺の椅子に誰かがすわり
俺の机に知らない本が積まれ
ガヤガヤと会話が音になり始める
今朝を日常だと思ってしまう
 
 
 

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