問いの小道
ある日
問いは
どこかの小道を
歩いていました
きれいな花や
しぼんでゆく花びらや
ささえている茎や
はぐくんでいる土にも
ときめいたけれど
切り取ったり根こそぎ
摘んでしまっては
わるいからと
めぼしいものを見つけては
クレヨンでスケッチ
クエスチョンでマーク
したりしたり
していました
家に持って帰って
スケッチを並べて
あいだをひらひら
舞う蝶には
なれないから
いつかスケッチを見ながら
スケッチブックをふくらませて
なつかしい小道を
目の前にありありと
うかべることができたら
そのときは生きてもいー
死でもいーと
ため息をつきました
とぼしいビジョンをかかえて
ため息はまた
すこしやせた問いになって
どこかの小道を
歩いていくのでした
問いは問いを生み
どこまでも問いのまま
いつか問いのまま
問われる先に
名前のないお墓が
明るく陽を浴びて
小道の花々に
隠されていくことを
願うばかりでした
おこってくれー
かくれないでくれー
(1997年4月1日)