ウソの国-詩と宗教:st5402jp

キリスト信仰、カルト批判、詩のようなもの、思想・理念、数学・図形、などを書いています。

2014年07月

 
  推敲
 
 
私は自分を描いているけれど
 
描かれている自分は自分で
 
私を描いているつもりでいるのさ
 
ゆえに対象は同時に主体で
 
結果は同時に原因で
 
作用点は同時に力点で
 
だから必要不可欠なのに
 
支点はいつも見逃される
 
 
(2014年07月16日)
 
私は鏡の中の私を真似しているのか・・
・・鏡を覗かなければ起こらないこと・・
 
(2014年07月18日、一部修正)
 
メモ的に参考までに・・修正プロセス?
 
最終2行・・最初は
「必要不可欠だから/世界は支点に満ちている」
だったが、それを
「世界は支点で出来ている」にしようかと?・・しかし
テレビの格言バラエティで似たようなのがあった・・
 
3行目までは乏しい私の中でだけだが、虚構の
感性的?イメージ的な?ねじれた整合性?が勝手に取れたつもりだが
「世界は・・」となると・・
そこまで大言壮語できない、大げさすぎる・・
ならば「満ちている」もおかしい・・
 
それで上のように7行目を
順接「必要不可欠」逆接にして
「世界」を削除、私らしくネガティブ表現に・・
私は少し落ち着く・・ ・・落ち着く?
・・という心か・・なんだか、くるしい・・
 
 
 
 

有名無名を問わず(私は勿論無名)詩を書く人を詩人とすると・・
 
 
  詩人
 
 
詩人は詩を残して滅びる宿命なのに 
詩は詩人を捨てることが出来ない 
 
詩の作者は詩人なのだが
作者としての詩人は書いたとき既に滅びている
 
詩は暫くは生きているが
詩人は例外なく消え失せる
 
詩は時に美しいが
詩人は悪の限りを尽くす
 
詩人などという人種も職人も学者も
人格としては存在しない
 
詩については是非見てほしいと願って止まないが 
詩人の顔など見ないほうがよいのだ
 
詩が真実の魂に触れていても 
詩人の顔は詩を裏切る偽物だから
 
 
(2014年07月15日、同日一部修正)
 
 
どういう関連か連想か・・ちょいと思いついたので・・
 
 
  いろは歌
 
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
 
ここに「あ行~わ行」の
 50文字 - (わ行う段、や行い段とえ段の)3文字
 =47文字 が 1回ずつ使われている。
 
1. 色は匂えど 散りぬるを
2. 我が世誰ぞ 常ならむ
3. 有為の奥山 今日越えて
4. 浅き夢見じ 酔ひもせず
 
2.は反語で、1.2.3.は、無常を表す。
それを越えて 
4.は、
浅はかな夢も見るまい。酔いもしない。
つまり、4.は濁点の付いた否定文であることに注意。
 
(※ 蛇足 私としては・・
浅はかな夢も見たし・・酔うこともある・・失礼・・)
 
 
(2014年07月15日)
 
 
 
 

後に思ったことなど2題・・雛(4)
 
 
  空白の時間
 
 空白の時間は一羽の雀の干からびた屍骸が散らかって足の踏み場もないこの部屋のどこかに転がっている確率を示す、と同時に雛から小雀になるまで人に飼われ鳴けなくなった雀が野生に帰って生き延びられる確率をも示している。
 去年の夏、玄関先のコンクリートの上で日干しに成りかかっていた雛を拾い小雀になって飛べるまでのあいだ飼っていたことがある。チーチー鳴くからチーと名付けた。はじめは大きく菱形に開いた口に丸めた餌を落としてやればよかった。
 羽毛が生えそろい嘴らしくなったチーの口が大きくは開かなくなり、なおかつ未だ自分で啄むこともしなかった頃、割箸を薄く削って餌を付けチーの咽(のど)深く押し当てて食べさせていた。チーは足をばたつかせ滑らせ体を振ってもがくのだが咽は割箸で固定されているので動かせず嫌がるくせに終わるとまた餌を要求して口を開けた。他に餌を与える方法を思い付かず半分はチーの仕草を面白がってもいたのだ。その頃からチーが鳴かなくなったことに気付きもしないで。
 飛べるようになってしばらく経ってからチーは二階のこの部屋にこもるようになった。毎日この物置代わりにしていた部屋の入り口に餌と水を運ぶのが日課になった。夕方見ると量は分からないが啄んだ形跡があった。呼べば飛んで寄ってきたチーが呼んでもカーテンと窓の間に隠れるようになった。限界だと思った。
 窓辺に置いたチーが一度こちらを向き首をかしげるような動作を見せたのち再び開けた窓の外へ向き直りぴくっと低く身構えてから飛び出したのは確かに見た。しかしそれから、もし戻って来たときのためにと夕方までの数時間、窓を開けたまま一階に下りていたのだ。死にかけていたところを助け死なせずに済んで少しは善いことをしたような気分で。
 夕方二階へ行き呼んでも鳴き声も羽音も聞こえないことを確認して窓を閉め今日に至っている。しかし鳴けないチーが慣れない外界に疲れきって残る力を振り絞って戻ってきて羽音を立てる元気もなかったとしたら。
 外に出ていたとしてもチーは虫の捕(と)り方ひとつ学習してはいない。しかも鳴けないチーが野生の群れの中で生きられる時間は。再び鳴けるようになって仲間を得て生きられる確率は。助けたといっても自然界の掟にいたずらを仕掛けたに過ぎなかったのだ。
 後日チーと同じくらいの小雀が玄関近くの電線に二羽止まっていた。どちらかがチーであってくれたらと願わずにはいられなかった。空白の時間は今でもときおり訪れてこの部屋の前で足を竦(すく)ませる。もはや出来ることといったら糞で汚れ入り口には去年の餌がそのまま置いてあるこの部屋を片付けようとしない不精を決して空白の時間のせいにしないことだけなのである。
 
(1998年11月21日)
 
 
  深夜ふと
 
それでは駄目だと思わなければ
何も始まらないぞ
 
髭は剃らない
顔は洗わない
風呂には入らない
原始の生命に戻る
食えば眠る
突然目覚める
(目覚めはいつも突然だ)
 
日干しになりかけた
雀の雛
拾って
夢中で餌をやった
腹が減ると鳴く
食えば眠る
一九九七夏
無力な命と向き合った日々
不器用な慈愛が痛かった
 
ああ深夜
それでもいいと思わなければ
何も生まれてはこないぞ
 
 
(2005年04月26日)
 
 
・・1997夏・・雛の話、・・私らしく?気味悪く終わります・・
 
 
 
 

1997夏・・雛・・続き・・(3)
 
 
  放たれた雛
 
雛は鳴かなくなった
体も大きくならない
三種類の餌もこう散らかっては
どれだけ食べたかわからない
外の雀と比べると
一回りも二回りも小さく
羽毛は配色も乱れ一部ささくれ立って
どう見てもみすぼらしい
それが心配で飛べるようになってからも
家に閉じ込めておいたのだが
私が行くと逃げ回るばかり
そんなに逃げたいのなら
と窓を開けた
すると雛はもう一つの窓の
カーテンの裏に隠れてしまった
それでもうしばらくは部屋の中で
様子を見ることにしたつもりだった
翌日 暑かったからか
おまえの部屋に近づくと蒸れて
鼻につく臭気のためか
私は急に気が変わって窓を開けた
お前を捕まえ
あんなにも易々と捕まってしまうお前を
窓辺に置いた
そして二メートルほど離れて
お前がどうするかを見た
右の段ボール箱の方へ逃げるか
左のカーテンの方へ逃げるか
そのとき何故か外へ出ることと
それが何を意味するかを
真剣に考えていなかった
お前はしばらく部屋の方をキョロキョロ眺め
外を眺めた
そしてピクッと身をかがめ
飛んだ
滑空して向かいの家の
一階の窓の廂(ひさし)に止まった
頑張れよ
と抑揚のない声で呟いて
しばらくそのまま立っていた
それから餌を少し窓の外に置いて
表情というものを忘れたように
数時間ののち窓を閉めたときには
もうどこにも雛の姿は見えなかった
お前は自分で外を選んだのか
うっかり外に出てしまったのか
私を恐れて飛び出したのか
うっかりしていたのは私の方だった
慎重に計画して予定を決めるはずの
一度しかできないことを
私はその日そのときの
気まぐれでやってしまった
 
もともと野鳥のお前を
一生養うつもりはなかった
しかし一時的な保護でも
鳥カゴは買うべきだった
どの種類の餌をどれだけ食べたかがわかる
羽毛の生え具合もじっくり観察できる
部屋の糞と臭いに悩まされずに見ていける
今考えられる反省はそれだけだ
すでにお前は猫の腹の中なのか
空には鳶もいた
どこかで飢えているのか
仲間に会えたのか
一度は見捨てられた雛
野生から遠ざかっていたお前は
仲間に殺されることだって
ないとは言えない
死んだら私を恨むがいい
そんな月並みなことを言ってみたって
それでも日干しになって死にかけていたのを
一か月以上生かして・・・
生かしておきながら
 
私の垢のような慈愛と善意は
容易に偽善と悪意に変わる
私の眼の色は容易に変わる
しかもどちらかではなく
しばしばそれらは混ざり合っている
私の眼の色は容易に濁る
 
曇った眼に何の覚悟もなく
弱肉強食の自然淘汰で
営まれている動物の世界に
うっかり干渉してしまった私の中を
悔いとも怒りともつかぬ渦が回っている
その重さを今日も引きずり
あれから三日目
おまえの生きている姿も
死骸もまだ見ていない
 
 
  別々の同一性
 
雛のお前がまだ飛べなかったころ
私の指が握っている箸から
嘴を菱形に大きく開けて
餌を受け取りながら
一方で私が餌を準備しているあいだ
指に向かって小さい翼を広げ
ふるわせていた滑稽な姿
私の指を敵と見なして
威嚇しているつもりだったのか
後々逃げ回ったところをみると
どうやら箸と指と
私の顔や声は
お前にとって別々の生き物だったらしい
箸で咽の奥まで餌を突っ込んでいたから
ついには箸も敵になってしまって
今ごろになって思い出し
勝手に解釈している私も滑稽だ
立って腕を左右に広げてみる
ふるわせる代わりに
足腰をひねったり回したり
体の端から端まで
自分であることを確かめるように
あちこち痛い
筋肉がつる関節がきしむ
バラバラになりそうだ
使ってないところがたくさんある
思い出せないことも
これから思い出すことも
お前のことだけではなく
きっとたくさん
悔いるために
恐れるために
恐れないために
 
 
(以上、1997年06月~07月ごろ)
 
・・ちょっと余計な(4)に続く・・
 
 
 
 

1997夏・・雛・・続き・・(2)
 
 
  暑い
 
顔に皮が張り付いて
少しずつずれていく
にじむ足取りで
目線が濁り始める
耐えることは愚かで
拭うことは卑怯で
罪悪の糸がゆるく伸びて
どこへ向けようもない殺意が
狭い遊び場を探す
指に噛みつき糞を浴びせる雛鳥を
壁に叩き付けようかと捕まえて
手の中のあまりに小さい温もりに
手は泥人形の手
泥人形は泥になる
泥の命は誰に任されている
全ては未定のまま歩きだす
小鳥のように飛び交うテニスボールが
はね返す澄んだ涙腺に
どこへ向けようもない沈黙が
皮ごと顔を拭い隠す
 
 
  引きこもる雛
 
チーよ
お前の気持ちを察しかねて
お前がやたら噛みついたりするから
どついたり叱ったりもした
恐れたのか
お前は羨ましいほど早寝早起きで
私は不眠・夜更かし
明かりを嫌ったのか
冷房が嫌だったのか
お前は二階の蒸し暑い部屋に
引きこもってしまった
餌を持っていって部屋の入り口に置く
しばらくすると餌が減っている
自分で食べれるようになった
飛ぶのも逃げるのも上手になった
ときどきカーテンや壁に
張り付いたりする 蛾みたい
お前が引きこもったので
糞と餌で汚れた一階のテーブルまわりを
掃除できたのも事実だ
お前を拾ったことに悔いはないが
しょせん鳥のしつけは私には無理だった
 
最近は閉じたカーテンと
閉めた窓の間に居ることが多い
外の鳴き声を聞いているのだろうか
外へ出たがっている?
部屋に閉じこもっているが
家に閉じ込めてもいるのだ
そろそろ窓を開けて
外に出してやる時期が来たのだろうか
外はきびしいぞ
私は出たくない
出したくもないが
一生
というわけにもいかないし
お前は部屋に引きこもり
私は私で引きこもる
お前の気持ちを察しかねて
私の気持ちを察しかねて
決しかねて
 
 
  御先祖様
 
今生きているということは
御面相も死に様も
生き様も知る由もないが
明治・幕末・江戸・
安土桃山・戦国・
室町・鎌倉・
平安・奈良・飛鳥・
弥生・縄文・
もっと前
そしてもっと前
どの時代にも
直系の先祖が必ず
今生きているように
生きていた
雛よ
お前の先祖も
 
 
  鳥か雛か
 
図鑑を探してみる
色とりどりの小鳥たち
こんなに奇麗じゃない
色がはっきりしない
外観は雛とは言いがたいが
まだ小さい 少し痩せたような気もする
頭部は刈らずに伸びた坊主頭みたいだ
若鳥だからか
翼に羽毛の抜けているところもある
生え変わる抜け毛か 病気か
雀の子か お前は一体何なんだ
 
あるとき雛は
もう雛ではない
とでも言いたげに部屋の入り口の
開けっぱなしのドアの上に佇んでいた
こちらを見ようともしない
近寄ると
用はない
とでも言いたげに部屋の奥へと飛んだ
もう忘れたのだろう
私が毎日餌をこねて運んでいることなど
それでいい
奴隷のように餌を運ぼう
私はお前を閉じ込め
何も教えることができないまま
窓辺をお前の世界の端にしてしまった
いずれ窓を開けるときが来る
うっかり飛び出すであろうお前の
そこからが痛々しくも自由
鳥であるか雛であるかを試される世界だ
この小さい家を住処(すみか)とするだけの
私の手はもう届かない
お前を解き放ったのち
雛の死骸を見ずに済むことを祈るだけだ
 
住みにくい狭い部屋から
喜び勇んで飛揚してくれ
窓が開けられるそのとき
多分この梅雨が明けて
お前がもう少し鳥らしくなったころ
 
 
  窓辺の雛
 
私の先祖は
お前の先祖を食ったかもしれない
寄ろうとすると逃げる
羽が一部抜けている
今日は餌の減り方が少ない
少し痩せてきたか
狭さゆえのストレスか
外に出たいのか
しかし今のまま外に出たら・・・
いつ窓を開ければいいのか
 
お前の先祖は
私の先祖の屍をついばんだかもしれない
それはいいとしても
わるいとしても ともかく
落ち着かない
糞だらけの
窓辺
またどこか行った
 
 
・・(3)(4)に続く・・
 
 
 
 

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