この地上に・・2 (修正加筆、再録)
 
 
私のふるさとは
この地上にはありません
と言いたくなるとき
 
信仰者にとって
本当のふるさとは神の国
ということなら
それは信仰者として
真実でもあるのだが
 
一方で
逃避なのかもしれない
 
 
人というのは生涯
演技し続ける動物のようだ
恥ずかしくないように
少しでもきれいに見えるように
嫌われないように?
  
そういう演技は正当で
普通なのかもしれないが
過ぎれば
「世間体」大明神とか
「体裁」大権現とかの崇拝にもなりうる
 
自分というものをしっかり持って
という「しっかり」の基準は分かりにくい
自分を信じて
という「信じて」は
責任の自覚か
努力と実績に裏打ちされた自惚れ
つまり自信だろうか
 
 
世間体も体裁も
人間関係も幸福も捨てて
真理や真実を追究して
心を病んで
傍目には
自滅的な人生を歩んだ幾人かの
哲学者、数学者、文学者、詩人などの
名を思い起こすのだが
 
 
私のふるさとは
この地上にはありません
と言いたくなるとき
 
そういう質を持ってしまった者が
反社会的ではなくても
非社会的になって自閉して
ただ一度だけ
逃避が許される最後の時を
待っている人であるなら
 
幾人かの名と違って
自分は志よりも病が先なのか
いつまで社会人でありえたのか
と風景のように遠い人々を
 
遠い社会と世界を
ぼんやりとした意識の向こうに眺めている
 
 
思うところに
以上のように思うところに
ふるさとの不在を思うだけのところに
 
いちばん知っているつもりで
本当は、いちばん知らない自分は
むしろ、いて欲しくないのかもしれないとき
 
避け所は、神の前、
秘密も嘘も飾りもない祈りの時である
 
 
(2011年04月30日)
(2019年05月08日、修正)
 
 
※ 雑感メモ:
 
論理は、心の面倒を見ない。
だから、右も左も、イデオロギーは、悲劇をもたらしてきた。
 
キリスト教も、思想と化してしまえば、同様だろう。
つまり、教条は、心の面倒を見ない。
 
 
※ 
 
私は、神の前で精いっぱい正直であることが大事と書いてきました。
  ↓
神に向かって、即ち、祈りにおいてだけは、精いっぱい正直であること、という意味です。そこで、善悪や正邪などの、人が間違えて犯してしまう罪の赦しを与えられるだろう、ということです。
 
また、私は、人は神の前で生きていると書いてきました。
  ↓
神の前で生きているとは、神は全能者として全てを見ておられる、という意味です。
 
前のは、合わせると、人は、いつも正直に生きなければならない、という道徳の話になってしまいます。こういう道徳が絶対の信仰なら、私は耐えられません。
 
改めて言うと、神の前で精いっぱい正直、というのは、神に対する祈りにおいて、故意に嘘は吐かない努力をするべきだということです。嘘を吐いたり、飾ったりしたときには、気づいたときに、改めて祈るということです。
 
神の前で生きている、というのは、神は総てを見ておられ既にご存知である、という神の全知全能のことを言っています。
 
この二つを結び付けるのは、神は、総てをご存知の上で、人が正直な祈りで告白してくるのを待っておられるということです。神の、この待っておられる姿勢は、人の一生のあいだ、変わることがなく、それが、神の寛容なる愛だと言いたいのです。
 
理路の表現が、誤解を招いたかもしれません。すみません。
 
※ 
 
神に対して滅多なことは言えないと、讃美言葉で飾ったり、自己正当化して反省もせず善人のふりをして、罪悪を隠したり、さらに嘘を吐いたりすれば、既に、それらすべては、神によって、見抜かれているということです。ゆえに、改めて、正直に祈ることだけが、悔い改めになるのです。
 
 
この地上に2

この地上に(2)
 
 
(2020年05月27日、修正加筆再録)
(2021年05月30日、加筆修正して再録)
 
 
 
  眠りの音信
 
別れて久しく
音信も途絶えた人が
見知らぬ地にて永眠するとき
揮発のアンダーグラウンドに
泡沫の
嘗ての縁
は胸に巣くう鬼畜を眠らせ
血腥い流れを冷水に
冷水を雫に
そして雫が形を失うとき
二つの問いを残すのです
「俺はそんなに悪かったか」
「水さえも永遠ではない」
契りもなくて罪に塗れ
柵を越えるよりも先に
冷たく遠く離れ去って
眠り続ける土塊深く
失われゆく形骸は
永遠の水を求めて
地上からの吸引に逆らうでしょうか
 
(90年代か)
 
泡沫(うたかた)
嘗(かつ)て
縁(えにし)
血腥(ちなまぐさ)い
雫(しずく)
契(ちぎ)り
塗(まみ)れ
柵(しがらみ)
土塊(つちくれ)
 
 
 
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