形骸
傷つけないように気をつけても
傷つけてしまうことがあり
罪が生まれる
しかし傷つけないように気をつけること自体が
習性のように
形だけになってしまうことがあり
生まれた罪は自覚されない
やり場もなく
じりじりと長く続く痛みなら
気を失ったほうがましだ
反対意見は
元々空気を乱すものだから
見た目だけ穏やかな言い方はしない
皮肉と揶揄で小馬鹿にするような
狡い言い方はしない
はっきり言わないことが
気遣いだとは思わない
ぶつけて反発を受けることで
揺り動かされても
ときに折れても
壊れても
跳ね返っているあいだ
空しさも生きているのだろう
文章
顔も身振り手振りも見えず
性格もよく分からない文章にも
文脈とか前後関係とか
筆致とか書き癖というものがあり
もちろんテーマの重要度など
という場の状況もある
真剣な反対意見の文脈で
相手に対して肯定的とは思えない冗談めいた譬えは
揶揄になってしまう
心理分析をする能力はない
しかし誰もが
心理分析をしているとも言える
ごまかしや虚飾のない本音
本気の意見
本当の気持ちを知りたいからだ
本当のことが知りたい
という嘘もあるから
本当のことが知りたいのである
(2011年12月17日))
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